晴れ、ときどき映画と本、たまに旅

観た映画、読んだ本、訪れた場所などの記録

2024-01-01から1年間の記事一覧

映画「エドガルド・モルターラ」~心の臨界点

【あらすじ】(ネタバレあります) 実話に基づく。十九世紀の半ばのイタリアはボローニャ。ユダヤ人街で暮らす一家の元に、突然、ローマ教皇からの使者がやってくる。一家の子どもの内の一人、7歳のエドガルドを差し出せ、というのである。 その理由は、エ…

『道草』~リアル漱石・『猫』誕生の裏側

寝しなに夏目漱石の「道草」を読んだ。すぐ眠くなるので、一日数ページである。読み終わるのにひと月くらいかかった。面白かった。 『道草』は、漱石がイギリス留学から帰った時期の出来事が題材となっている。三十代後半くらいの時期である。 漱石の生い立…

本宮山〜東三河の最高峰

愛知県豊川市にある本宮山に登った。標高789m。東三河では、一番高い山とのこと。なお、東三河とは、愛知県の東部地域。豊橋市や豊川市、新城市、渥美半島などが含まれる。 本宮山の登山口には、ウォーキングセンターがあり、マップももらえる。トイレもある…

映画「Here」~自然の中の人間

【あらまし】 舞台はベルギーの首都ブリュッセル。ルーマニアからの出稼ぎ労働者の男性と中国系の植物学者の女性の出会いを描く。 出稼ぎ労働者シュテファンは、ビルの建設現場で働いている。夏は一か月間、工事がストップするので、仲間はそれぞれバカンス…

八丁味噌の郷〜サスティナブルなAKA-MISO

岡崎市八丁にある「八丁味噌の郷」を訪れた。赤味噌を370年以上にも渡って作り続けている合資会社「カクキユー」の本社と工場に売店と食堂が併設されている。 カクキュー本社屋。昭和2年に完成。国の登録有形文化財だが、現在も使われている。 昼前に到着。…

映画「オッペンハイマー」〜原爆の父の実像

原爆を開発した物理学者ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落を描いた映画。180分の大作である。今年のアカデミー賞作品賞等の受賞作でもある。 【人物】 オッペンハイマーは、ユダヤ系のアメリカ人。ハーバード大学で化学を学び、ケンブリッジ大に留学。…

「三四郎」夏目漱石~田舎者の目から見た東京人物図鑑

夏目漱石の「三四郎」を読んだ。読むのは二回目か三回目である。今回は、寝る前に布団の中で少しづつ読んだ。すぐに眠くなるので、読み終わるのにひと月くらいかかった。少しづつ、話が進んでいくので、こういう読み方も面白いと思った。 明治時代の終わり頃…

読書『凡人のためのあっぱれな最期』樋口裕一

著者の樋口裕一氏は、71歳。文学に造詣の深い、インテリである。2022年に妻を亡くした。この作品は、樋口氏が妻の死に際して考えたことを著したものである。 樋口氏の妻は、まったくの健康だったが、突然子宮体癌が見つかり、治療の甲斐なく1年半後に亡くな…

映画「ミツバチのささやき」〜始まりの物語

「瞳をとじて」と順番が逆になったが、「ミツバチのささやき」を観た。1973年制作。スペインの名匠ビクトル・エリセ監督の第一作である。 1940年。スペインのカタルーニャ地方の寒村。巡回映画で「フランケンシュタイン」が上映される。熱心に見入る村の子ど…

大垣散歩〜水と芭蕉

JR大垣駅は、わりと大きな駅だった。JR以外にも、樽見鉄道と養老鉄道の起点となっている。 大垣は、松尾芭蕉が奥の細道の旅を終えた場所。奥の細道をたどる散策路(ミニ奥の細道)が整備されている。 大垣城の昔の外堀が水路(水門川)になっている。水路沿…

映画「瞳をとじて」〜失われた時を求めて

【あらまし】 スペインが舞台。老年を迎えた作家ミゲルは、片田舎の海辺の町で静かに暮らしている。昔は映画監督だった。二作目の作品『別れのまなざし』を撮影中、主役が失踪してしまい、映画を断念する。その作品の主役は、ミゲルの親友フリオだった。 作…

舘野泉コンサート~シャコンヌ

左手のピアニスト舘野泉さんのコンサートを聴きに行った。二度目である。 前回は、「鬼の学校」という曲を聴くためであった。そのコンサートで感銘を受けたので、舘野さんの書いたエッセイなども読んだりして、「シャコンヌ」という曲があるのを知った。バッ…

志段味古墳群と東谷山〜名古屋市の最高峰

志段味(しだみ)古墳群は、名古屋市を流れる庄内川の中流域にある。4世紀から7世紀にかけて造られた古墳が大小60基ほど集まっている。この古墳群は、「歴史の里」として整備されている。 JR中央線高蔵寺駅から徒歩約15分。わりと行きやすい場所にある。 庄…

映画「生きる」〜神の視点・カリカチュア・輪廻

2023年の5月、久し振りに映画館で見た映画が、カズオ・イシグロの脚本でリメイクした「生きる・LIVING 」だった。 先週は、映画館に行く時間がなかったので、録画しておいた原作「生きる」(黒澤明監督)を観ることにした。 「生きる」を観るのは、2回目で…

映画「笑いのカイブツ」~レゾンデートル

【作品のあらまし】 原作は、同名の構成作家ツチヤタカユキ氏の自伝的小説。 ツチヤは、母と二人暮らし。就職もせず、部屋にこもってお笑いのネタを考え続けている。テレビの大喜利でレジェンドを獲得し、新喜劇の劇場に漫才の台本を持ち込む。才能が認めら…

映画「みつばちと私」〜生まれ直しの儀式

【あらまし】 夏のバカンスをスペインバスク地方の実家で過ごす母と3人の子ども。末っ子のアルトールは、男の子であることに違和感を覚えている。愛称のココ(男の子)と呼ばれることも嫌う。髪を長くして、マニュキュアをしている。プールは恥ずかしくて入れ…

猿投山~愛知の高尾山

猿投山は、愛知県豊田市と瀬戸市にまたがる標高629mの山である。手軽に登れる山として、ファミリー層にも人気という。 名鉄豊田市駅から、とよたおいでんバスに乗って、約30分。猿投神社前で降りると、午前10時半に登山口に着く。 まずは、猿投神社で当日の…