志段味(しだみ)古墳群は、名古屋市を流れる庄内川の中流域にある。4世紀から7世紀にかけて造られた古墳が大小60基ほど集まっている。この古墳群は、「歴史の里」として整備されている。
JR中央線高蔵寺駅から徒歩約15分。わりと行きやすい場所にある。
庄内川を渡ると、ほどなくして「歴史の里」に到着。志段味大塚古墳が現れる。
5世紀前半に造られた長さ51mの帆立貝式古墳である。復元されていて、石が拭かれ、埴輪が並べられている。上まで登ることもできる。
ほかにも古墳はいくつかあるが、復元まではしていない。普通の公園という感じで、木が植えられ、ベンチがあった。家族連れもちらほらいる。
「歴史の里」には「体感!しだみ古墳群ミュージアム」という長い名前の小さな博物館があり、志段味古墳群のことを学ぶことができる。入館料200円。こじんまりしたカフェも併設されているが、大きなテーブルで女性のグループが盛り上がっていたので、入らず。
大きなスクリーンにアニメーションが投影され、志段味古墳群の成り立ちを紹介したり、パネルで古墳の説明をしたり、出土品を展示したりしている。分かりやすくて良い。
この辺りは、山と海の中間地点で、交通の要衝であり、古くから豪族が栄えたという。奈良の大和政権の許可を受けて、古墳を造ったとのこと。大和の役人が来て、造り方を教えたという。フランチャイズ制だったのである。
初めの頃は、巨大な古墳が幾つか造られ、時代が降るにつれて、規模が小さくなる代わりに数が増えた。最初は王みたいな人しか造れなかったのが、最後の方はちょっとした人でも造るようになった。庶民でも頑張ればなんとか手に届く。「いつかはクラウン」みたいな感じだったのだろう。
ピラミッドなど世界各地に巨大な墓はあれど、古墳のこの形は、日本独特である。なんでこんな形にしようと思ったのだろう。そもそも墓作りにこんなにエネルギーを注いだのはなぜだろう。不思議に思う。
博物館でもらったマップには、近くに東谷山(とうごくさん)という山があり、散策路になっていると書かれていた。山の上にも古墳がある。
天気も良いので、登ってみることにした。歴史公園を出て、しばらく歩く。途中、農園などがあり、東谷山フルーツパークもあった。シーズンオフなのか閑散としていた。
散策路の入り口に到着。東谷山は、名古屋市内の最高峰の山である。標高198m。
散策路は、いい感じである。400段ほどの階段を登っていく。楽しい。
途中で古墳が三つあった。南社古墳、中社古墳、尾張戸神社古墳。
山頂の尾張戸神社古墳の上に、尾張戸神社がある。熱田神宮の奥の院。東谷山は、霊場でもあるのだった。
山頂には、木製の展望台があった。登ってみると眺望が開けた。遠くに御在所岳を望み、尾張平野を一望できた。
帰りもテクテク降る。20分ほどで、山を下る。鳥の鳴き声が聞こえる。
庄内川沿いの道を歩いていると、円墳があった。東谷山白鳥古墳。6世紀末から7世紀初めの円墳である。横穴式石室を見ることができる。
所要時間約2時間。歴史も学べて、ほどよいハイキングであった。