晴れ、ときどき映画と本、たまに旅

観た映画、読んだ本、訪れた場所などの記録

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

映画「エリザベート1878」〜義務と気晴らし

【あらまし】 オーストリア皇后エリザベートの40歳の1年をドキュメント風に描いたもの。 夫は、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ一世。エリザベートは皇后としての役割を果たすため、ダイエットをして細身の身体を維持し、乗馬やフェンシングで身体を鍛え…

映画「キエフ裁判」〜事実の耐えられない重さ

【概要】 第二次世界大戦終結後、ソ連でナチスの将校を被告とする軍事裁判が開かれた。本作は、実際の裁判の記録映像を編集して作られたもの。 1941年、ナチスドイツは、キエフを占領下に置き、在住のユダヤ人を殲滅する作戦を敢行した(バビ・ヤールの大虐殺…

映画「二人のマエストロ」〜道を譲るとき

【あらすじ】 フランス人指揮者の父と息子。年老いた父の輝かしいキャリアは過去のものとなっている。一方、息子は、大きな賞を受賞し、時流に乗っていてる。息子の活躍が、父には面白くない。 ある日、老指揮者に電話が入る。夢にまで見たミラノ・スカラ座…

映画「アウシュビッツの生還者」〜数奇な人生

【あらすじ】 1943年、ポーランド人でユダヤ教徒のヘルツコ・ハフトは、アウシュビッツに収容された。身体が強いのを見込まれて、ナチス将校の主催する収容者同士の賭けボクシングのボクサーになる。負けた者は、殺されるという過酷な試合。ヘルツコは、勝ち…

映画「大いなる自由」~大いなる不自由?

【概要】 かつてドイツでは、男性の同性愛は刑法175条で罰せられた。その頃の話。 ハンスは、ナチス・ドイツの時代から、同性愛の罪で収容されており、戦後も釈放されることなく、アメリカの統治下でも収容が続けられた。 出所しても、繰り返し検挙され、収…

映画「シモーヌ」〜呼ばれた人

シモーヌ・ヴェイユは、フランスで一番人気のある女性だそうである。私は、この映画で初めて知った。日本の多くの人がそうではないか。 それに同姓同名で、時期も同じ頃のフランス人哲学者がいる。こちらなら、うっすら聴き覚えがあって、ちょっと混同しかけ…

映画「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」〜生き延びるために必要なもの

※ネタバレあり 【あらすじ】 ウィーンで女優の妻とともに優雅に暮らす公証人バルトーク。自信にあふれ、誇り高い男。音楽と文学をたしなみ、美食と舞踏を楽しむ毎日を送っている。 1938年、ナチスがオーストリアに進軍する。高を括っていたバルトークだが、…

映画「658km、陽子の旅」〜道程が心を開く

✳︎ネタバレあり 【作品のあらまし】 東京で一人暮らしをする42歳独身のフリーター陽子。引きこもりの、さえない暮らしぶり。 ある日、従兄弟が訪ねてきて、故郷の青森の父が急死したと知らされる。従兄弟一家の車で青森に向かうが、サービスエリアで休憩中に…