【あらすじ】
フランス人指揮者の父と息子。年老いた父の輝かしいキャリアは過去のものとなっている。一方、息子は、大きな賞を受賞し、時流に乗っていてる。息子の活躍が、父には面白くない。
ある日、老指揮者に電話が入る。夢にまで見たミラノ・スカラ座からの音楽監督就任の依頼だった。大喜びする父とテンションを下げる息子。
ところが、その依頼は父を息子と間違えたものだった。イタリア行きに盛り上がる父を見て、息子は真実を伝えるのをためらう。しかし、これは息子にとっても逃せない機会なのだ。
さて、息子が下した決断とは?
【道を譲るとき】
父はキャリアにしがみつき、息子と張り合っている。しかし、いつまでも一線にいることはできない。いずれは、道を譲らなければならないのだ。
息子にとって、父は憧れであり、壁でもある。乗り越えてしまうことに、怖さがある。
本来なら、息子が自分を乗り越えてくれるのは、父にとって喜ばしいことだ。しかし、キャリアを積み上げるために人生を捧げてきた父には、それが難しい。もう一花、咲かせたいのだ。
真実を知った夜、父は息子のマンションに行き、初めて腹を割った話をする。対話は一見、決裂したように見えるが、父は息子を愛していたことを再認識し、道を譲ることを受け入れる。
【自由なフランス人】
息子には、元妻との間に18歳の男の子がいる。元妻はマネージャーをしており、関係は良好。子は、元妻と息子の間を行ったり来たりしている。
息子には、バイオリニストの恋人がいる。家族公認の仲である。
仕事上、元妻と恋人が出くわす場面もあるが、お互い気にしていないようだ。フランス人はみんなこうなのだろうか。日本だと、険悪な感じになりそうだが。
【ハッピーエンド】
最後は、ハッピーエンドで終わる。ラストシーンでは、父と息子が笑顔で抱き合うが、ちょと安易な感じがした。「さっきまでのこだわりはどこにいった?」と言いたくなる。
父子の葛藤を描きつつも、基本的には、エンタメ作品なのであった。
指揮者が主人公だけあって、クラッシックの有名な曲が流れる。心地良い感じであった。
88分と短めで、軽く楽しめる作品。
二人のマエストロ
ヒューマンドラマ ★★
エスプリ ★★
エンタメ ★★★