晴れ、ときどき映画と本、たまに旅

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映画「古の王子と三つの花」~平面の美

【どんな作品?】
 アニメーション作品。三つの話が語られる。
古代エジプトのファラオの話
 小国の若い王は、恋人の母の反対で結婚できない。王は、神々に守られて、平和的にエジプトのファラオになり、恋人を后に迎え入れる。
②中世フランスの領主の息子の話
 領主の息子は、死刑囚を逃がしたことで、領主である父に死刑を言い渡される。森に逃れた息子が、「美しき野生児」となって、領主に復讐を果たす。隣国の領主である元死刑囚の娘と結ばれる。
③18世紀トルコの王子と王女の話
 祖国を追われた王子は、トルコに逃れ揚げ菓子職人となる。その国の王女が揚げ菓子を所望したことで、二人は結ばれ、逃げ出して自由の身となる。
【童話】
 三つの短い話には、互いに関連はない。酷い親に押さえつけられた若い男女が苦難を乗り越えて結ばれるという筋は共通している。トントン拍子に話が進みハッピーエンドで終わる。単純で、難解さや深みはない。童話である。
 どの映画でも花がモチーフとなっている。
【平面の美】
 ファラオの話は、古代エジプトの壁画をそのまま動かしたような映像であった。中世ヨーロッパの話は、切り絵のような画面。トルコの話は、豪華絢爛、極彩色のイスラムの世界。
 いずれも平面的で動きは硬いが、絵画的に美しい。
 先日、「君たちはどう生きるか」を観たが、ジブリ的な生々しい動的な美しさとは対照的な静的な美であった。
 難解であったり、深みのある作品も良いが、たまにはこんな映画も骨休めになる。

 ただ美しい映像を見たい人にはおすすめ。

 

古の王子と三つの花
芸術性 ★★★★★