晴れ、ときどき映画と本、たまに旅

観た映画、読んだ本、訪れた場所などの記録

2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

映画「箱男」~箱とは何か?

「箱男」は、箱を被った男が奇妙な体験をする話である。原作は阿部公房。今回は小説を読んで予習してから観に行った。 箱男は、段ボールを被って、その中で暮らし、街を徘徊して、のぞき窓から外を見る生活を送る。普段は気にしないが、実は街のそこここにい…

映画「僕の家族と祖国の戦争」〜誰が悪いのか

【あらまし】 1945年。終戦直前のデンマークのとある町。小規模な市民大学の学長一家の物語。ソ連に進行されたナチスドイツは、自国民を「難民」として、占領下の地域に移送する。デンマークには、20万人もの「難民」が連れてこられ、この町にも500人余りの…

『虞美人草』〜華麗なる失敗作

寝しなに『虞美人草』読んだ。長いので、二月ほどかかった。読み出すとすぐに眠気が来るので、睡眠導入剤としては優秀であった。 【登場人物】 小野さん 大学を優秀な成績で卒業した詩人。博士論文を執筆中。孤児であり、若い頃は貧乏で、京都では孤堂先生に…

佐川美術館〜さざなみの美術館

佐川美術館は、滋賀県守山市の琵琶湖畔にある。宅急便で有名な佐川急便の創業40周年記念事業の一環として開館された。 「湖畔に佇むように建つ、こぢんまりとした美術館」を想像していたのだが、訪れてみると、意外と大きかった。湖畔ではあるが、湖に面して…

映画「ボレロ」〜音楽に呑み込まれた作曲家の生涯

作曲家ラヴェルの生涯を「ボレロ」作曲のエピソードを中心に描いたもの。 ラヴェルと言えば、「ボレロ」と「亡き王女のためパヴァーヌ」くらいしか知らず、豪快な中にも叙情的な感性を持ち合わせた人物というイメージだったが、実は繊細で神経質な人であった…

映画「風が吹くとき」~善良な市民が核戦争に巻き込まれたら

【あらまし】 1986年制作のイギリスのアニメーション映画。第二次世界大戦から40年後。イギリスの片田舎の一軒家で年金暮らしをする夫婦が核戦争に巻き込まれるなりゆきを描く。 夫は、図書館で新聞を読み、まもなく核戦争が始まると知る。政府発行のパンフ…

『草枕』〜非人情の芸術論

スマホを忘れた日、カバンの中に入っていた『草枕』を読んだら、案外面白かった。それで、入浴中にちょびちょび読んで、短い話なので、ニ遍読んだ。『草枕』は入浴中に読むのがちょうど良い。 『草枕』にストーリーはない。漱石自身、ただ美しい感じが読者の…

映画「ルックバック」〜人は何で漫画(または絵)を描くのか

✳︎ネタバレはありませんが、多少内容に触れます。 漫画に青春をかけた二人の少女の成長物語。原作は、藤本タツキの漫画である。58分と短いが、人気の作品らしい。 漫画家になるためには、ひたすら描き続けなくてはならない。そして、運良く漫画家になったら…

映画「ある一生」~意味のある人生とは?

✳︎ネタバレあり 【あらまし】 20世紀初め頃から70年頃にかけて、スイスの山と谷で生きて死んだ無名の男の一生をたどる。 幼い頃、孤児になったアンドレアス・エッガーは、農業を営む伯父に引き取られる。伯父からは、酷い扱いを受け、家僕のように扱われる。…