※ネタバレあり。
【あらまし】
北国の冬。ここでは、男の子はみな雪が降るとアイスホッケーをして、雪がない季節は野球をすることになっているらしい。
少年は、野球もアイスホッケー下手で、やる気もない。どうやら、争いごとが嫌いなタイプのようだ。
アイスホッケーが終わった後のスケートリンクでは、女の子たちがフィギュアスケートの練習をする。
少年は、ある少女に目を奪われる。ピアノ曲「月の光」とともに氷上を滑る少女の姿は、光に包まれ神々しくさえ見えた。
少年は、フィギュアスケートを見よう見まねで始める。
それを見ていたのは、フィギュアスケートのコーチ。コーチは、かつて有名選手だったが、事情があって、この町のスケートリンクの管理者兼コーチをしている。コーチは、かつての自分の姿に重ねたのか、少年にスケート靴を貸して、指導を始める。
コーチは二人にアイスダンスの大会に出ることを提案する。少女は、気が進まなかったが、尊敬するコーチの言うことなので、従うことにした。
二人は、アイスダンスの練習を黙々と重ねる。少年には吃音があり、少女は無口なので、会話は少ないのである。少年はめきめきと上達して、息がぴったりと合うようになる。三人は、ひとつとなって、素晴らしい時間を過ごすのだが……
【三位一体の関係】
淡い恋の物語である。少年は、少女に恋をした。少女はコーチに恋心を抱く。コーチは少年に目をかける(下図)。この関係がうまく循環するとき、三位一体となって、素晴らしい時間が出現した。
しかしそれは、雪の結晶のように美しくもはかないものであった。
もともとこのシステムは不安定であり、アイスダンス大会出場という目標を推進力として、成立していたものであった。それが失われたとき、この関係はあっけなく溶け去ってしまう。
いずれにしても、冬が去れば、スケートの季節は終わるわけなので、長続きするものではなかった。はかないからこその美しさとも言える。
【映像美】
スタンダードサイズで、雪国の情景が絵画的に美しく描かれている。物語の淡い雰囲気と良く合っていた。ピアノ曲「月の光」もマッチしてた。嫌な人は出てこない映画であった。
ぼくのお日さま
★★★★