【あらまし】
オーストリア皇后エリザベートの40歳の1年をドキュメント風に描いたもの。
夫は、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ一世。エリザベートは皇后としての役割を果たすため、ダイエットをして細身の身体を維持し、乗馬やフェンシングで身体を鍛え、コルセットで身体を固く締め上げる。しかし、容色の衰えは隠せない。
本来は自由奔放な性格。押さえつけられていた反動からか、イギリス、バイエルン、イタリアなどを旅行して回る。旅先では、乗馬の教師や従兄弟のバイエルン王ルードヴィヒとの恋愛を楽しむ。夫への愛情もある。しかし、象徴としての役割を期待する夫とは反りが合わず、ことあるごとに反抗的な態度を取ってしまう。
【義務と気晴らし】
夫は、時代遅れの帝国の君主。住んでいる家は、広大な城。儀式と儀礼が繰り返される。一家団らんはなく、子どもとも一緒に過ごせない。食事は豪勢だが、いつも給仕が付いているのは、窮屈そうだ。
自由に髪の毛を切ることもできない。皇后の髪を管理することを一生の仕事にする女官もいるのだ。
ヨーロッパ随一の美貌で知られた皇后。そのイメージを崩さないように涙ぐましい努力を重ねる。
ストレス解消のためかタバコを手放せない。乗馬で無茶をやって落馬する。肋骨を折り、痛み止めに処方されたヘロインにハマる。
結局のところ、エリザベートは、古い価値観に従っており、反発はするものの、気晴らしに終始しているだけのように見えた。時代からすれば、やむを得ないことではあるが。
【余談】
本作は、従来のエリザベート皇后のイメージを覆したことが話題らしい。私には、そもそものイメージがなかったので、王侯貴族も大変だな、と思った程度だった。歴史に詳しい人が見れば色々面白いところもあるのだろう。世界史を勉強する高校生が息抜きに観るのにちょうど良さそうだ。
ところで、最後に近代的な船に乗って、エリザベートが舳先から海に飛び込むシーンがあったが、あれは一体何だったのだろう?
エリザベート1878
歴史を学べる ★★★