【あらまし】
実話に基づく、リチャード三世の遺骨を発掘した女性の話。
フィリッパ・ラングレーは二人の息子を育てながら、会社員として働く女性。ある日、シェイクスピアの「リチャード三世」の劇を見て、悪人リチャード三世として描かれた王に同情する。名誉挽回をすべく、リサーチを開始。
フィリッパは、レスター市の福祉センター駐車場の地下にリチャード三世が眠っていると直感する。そして、市と交渉し、資金を集め、なんとか発掘にこぎつけるが……。
【取り憑かれた人】
フィリッパは、45歳。会社では、プロジェクトのメンバーからは外される。息子二人は生意気盛り。元夫は育児に協力してくれるものの、新しい恋人と仲が良いようだ。ストレスで持病が悪くなったりして、さえない日々。
そんな折り、なぜかリチャード三世に入れ込んでしまう。リチャード三世の幻影まで見え始める。本をどっさり買い込んで読み込み、怪しげなリチャード三世に加入し、各地の好事家とネットで情報交換し、歴史の教授の講演に紛れ込んで自説を主張し、仕事を休んでリサーチにいそしむ。
周囲の人には、常軌を逸しているように見え、専門家からは相手にされないが、その情熱は次第に周囲を動かしていく。
フィリッパがリチャード三世の遺骨の発掘という大発見をできたのは、この下にリチャード三世が眠っているという直観だった。
ブレイクスルーをもたらすのは、論理や理屈を超えた直観のようなものらしい。
【余暇の過ごし方】
人生は長くなった。日本の十人に一人は80代だそうだ。そうでなくとも、AIが仕事をやってくれるので、ベーシックインカムだけもらって、金はないけど、暇はあるという人が大半になるかもしれない。
これからは、余暇をいかに金をかけずに楽しく過ごすかということが、重要になるだろう。
何か調べ物をするというのは、楽しいものだ。役に立たなくてもいい。むしろ、役に立たないことの方が、欲得が絡まないので、いいかもしれない。
映画では「リチャード三世協会」という団体が出てくる。いわばリチャード三世のファンクラブである。同じ興味のある仲間がいれば、もっと楽しそうだ。
これからの日本は、趣味の時代になると思う。
【感想】
手堅い感じの普通に楽しめる映画であった。歴史の勉強にもなった。イギリスの家族の在り方やエジンバラの街並みも垣間見ることができる。
ロストキング/500年越しの運命
ヒューマンドラマ ★★★
歴史を学ぶ ★★★★