【どんな映画?】
韓国のホン・サンス監督の作品。書けなくなった女性小説家が、映画に出なくなった女優と意気投合して、短編映画を撮るという話。
ストーリーはなく、全編会話が続く。シーンの流れは以下の通り。
①小説家が、地方の町で古書店を営む後輩を訪ねる。後輩、店の手伝いの女性と会話。
②町の名所であるタワーで、小説家は旧知の映画監督夫妻と会う。
③映画監督夫妻と散歩をしているときに、偶然女優と会い、監督から紹介される。
④小説家と女優で公園を散歩。小説家は、短編映画を撮ることを持ちかける。
⑤女優が詩人を囲む集まりに呼ばれ、女優も一緒に行く。
⑥集まりの主催者は古書店の後輩で、詩人も交えて、マッコリを飲みかわす。詩人と小説家は、古い友人だった。
⑦エピローグ。完成した映画の上映会に女優が呼ばれる。
なお、ほとんどモノクロであった(作中の短編映画の一部だけカラー)。
【韓国語の会話】
韓国人の会話は、何となく親しみが持てる感じがした。軽くお辞儀をするあたりは、日本人と似ている。韓国語は、ほとんど分からないが、漢字での熟語が共通しているのか、ところどころ分かるような気がする単語があった。
ただし、日本人と比べて率直なところがあるようである。たとえば、女優が初対面の小説家に、「汗をかいているから、におわないですか」と尋ねるなど。
小説家は、自己主張が強く、久し振りに会った監督夫妻にずけずけ言っていた。その一方、古書店の後輩やお手伝いの女性は、控えめ態度を見せており、全員が自己主張が強いわけでもなさそうであった。小説家は「カリスマ」とのことであり、そういうキャラなのかもしれない。
全般的に会話の感じがテレビの「韓国語講座」のようなテイストであった。韓国語の自然な会話がこうなのか、映画だからなのかはよく分からなかった。
マッコリを飲みかわす場面が延々と続き、詩人がくだをまいたり、女優と小説家が盛り上がったりしていた。飲み会はどこの国でも似たようなものである。ずっと見ていると飲み会に同席しているような気がしてきた。
【スランプの脱し方】
スランプに陥ったときに、ちょっとした旅に出たり、普段合わない人と会ったり、会話を交わしたりするのは、良いだろう。普段とは違うことをしてみるのも。
芸術家でなくても、何かに行き詰ったり、生活がマンネリ化するときには、長い散歩に出かけるのも一つの方法である。
小説家の映画
芸術度 ★★★
会話度 ★★★★★