晴れ、ときどき映画と本、たまに旅

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三重県立美術館~「絵本原画の世界」展など

 三重県立美術館は、JR&近鉄津駅西口から、徒歩10分。少し、坂を上ったところにある。

 わりと大きな美術館であった。外観は普通の公共施設という感じである。

 ちょうど「絵本原画の世界」展をやっていたので、観る。観覧料一般千円。入ると、受付係の人たちは、「ぐりとぐら」の帽子をかぶっていた。

 展覧会は、宮城県美術館所蔵の「こどものとも」の名作の原画を展示しているもの。宮城県美術館のHPを見てみると、ただいまリニューアルのため休館中となっていた。それで所蔵作品を貸し出しているのだろう。

 展示作品は多数あった。「ぐりとぐら」など、絵本の原画なので、親しみやすい。見た覚えのある作品も、わりとある。

 「こどものとも」は、1956年に福音館書店が創刊した月刊絵本。編集者の松井居が手掛けた。芸術性の高い絵本作りを目指したとのことで、長新太らの絵本作家だけでなく、佐藤忠良秋野不矩といった一流の画家も描いている。変わったところでは、「山のパンセ」で知られている哲学者、詩人、随筆家の串田孫一の作品もあった。

 作家によって、画風も様々。精密に描きこまれたものや、自動車や飛行機など男の子が好きそうなもの、日本画風のものなど、バリエーション豊かである。

 絵本の下絵も展示されていて、作品になっていく過程が面白い。すごく手を掛けて良い作品を作ろうとしていることが伝わってくる。

 「ぐりとぐら」は、イラスト風だが、あっさりして余白が多いところが、かえって良いのかもしれない。「この世で一番好きなのは、お料理することと食べること。ぐり、ぐら、ぐり、ぐら」という名ゼリフは一度聴いたら忘れられない。

 子どもは、お料理や食べることが大好きなのである。他にも料理や食べることを扱った作品は多い。そのほか、買い物に行ったり、家を建てたり、乗り物に乗ったり、病気になったときにお医者さんが来てくれたり。

 子どもは、絵本を読むことで、世界を理解していくのだろう。

 「絵本原画の世界」展を見終わってから、ざっと常設展示も見てみる。

 こちらは、ムリーリョ、ゴヤルノアール、ボナール、ダリ、ミロ、レオナールフジタなど、西洋近代の有名な画家の作品が一点ずつ並べられ、それに続いて三重県にゆかりのある画家の作品が展示されていた。18世紀の偉大な画家ゴヤも、200年以上後の日本の三重県の津という町で自分の作品が展示されるとは思わなかっただろう。

 一階には、絵本や絵ハガキなどが売られて、工作コーナーもあり、家族連れでにぎわっていた。「はじめてのおつかい」で知られる林明子の絵がすごく良かったが、絵ハガキは売っていなかったので、何も買わずに出る。

 美術館には、かつてフレンチレストランがあったが、現在は他の場所に移転している。これも美術館の楽しみの一つなのだが、少し残念。

 津駅前のうなぎ料理店で、ひつまぶしを食べる。およそ三千円。うなぎは香ばしくて柔らかく、ボリュームも十分だった。津は、うなぎが名物でなのであった。