晴れ、ときどき映画と本、たまに旅

観た映画、読んだ本、訪れた場所などの記録

映画「EO(イーオー)」~ロバから見た世界

  EO(イーオー)は、ロバの名前である。

 サーカスのロバが動物愛護団体に保護されて、ロバ牧場に入れられたが、逃げだし、ウロウロする。その間に色々な人間が関わり、連れ回されたり、捕まえられたり、暴力を振るわれたり、保護されたりする。ポーランドが舞台だが、放浪の果てにイタリアに辿り着く。屠殺場のようなところに牛の群れに紛れ込んでしまう場面で終わった。食肉になってしまうのだろうか。

 イーオーを可愛がっていたサーカス団の女性がイーオーを探しに来て、彼女の後を追ってイーオーは脱走したので、どこかで再会するのかなと思っていたら、そんなことはなかった。もし、そうなら良かったねで終わっただろうが、もやもやした分、印象にも残った。

 終盤で、イーオーを拾った若い神父は、金持ちの放蕩息子で、母親との間で意味深なやり取りをしていたが、あれは何だったのだろう。

 ロバの視点から見ると、人間というものは、気まぐれで、身勝手で、暴力的で、愚かだとつくづく思った。動物愛護などと言っても、動物には迷惑な話である。

 愚かなことをするのも人間なのだが、こういう映画を作ったり、観たりするのもまた人間なのである。